自転車の交通費は,燃費(人間の移動にかかるカロリー及びタンパク質),メンテナンス料から算出される。
燃費
自転車の燃費計算においては,運動によって消費されるカロリーとタンパク質の量及び,その栄養価を何円で摂取したかが重要になる。以下においては,体重60kgの成人男性という想定で論じていくこととする。
自転車の場合,ロードバイクで1時間漕ぐと600kcal程消費されると言われているが,これから一般的な1時間あたりの消費カロリー120calを引くと,$\;600-120 = 480\;$より,1時間で480kcal余分に消費していることとなる。
1時間あたり480kcalとなると,スーパーで一般的な菓子パンを100円で購入して得られるカロリーに相当するため,カロリー面での燃費は1時間100円となる。このとき,1時間に20km進んだと考えれば,カロリー燃費は,$\;\frac{100}{20} = 5\;$より,5円/kmとなる。
また,必要なタンパク質の量は1日の普通の生活で体重1kgあたり1.2g必要とすると,自転車で長時間運動して1.6g必要と考え,体重60kgで$\;(1.6-1.2) \times 60 = 24\;$より,1日24g分が余分に必要となる。
1日あたり24gのタンパク質が必要となると,スーパーで豚肉を100gあたり110円で購入する場合に,100gの豚肉に含まれるタンパク質を17gと考えて,1日に豚肉が$\;\frac{24}{17} \times 100 \fallingdotseq 141 \;$より約141g必要と考えられる。
よって,1日に必要なタンパク質を摂取するのにかかる燃費は,$\;141 \times \frac{110}{100} \fallingdotseq 155\;$より,約155円となる。
ゆえに,タンパク質燃費は,1日で進める距離を$\;a\;$として,$\;\frac{155}{a}\;$円/kmで表される。
したがって,燃費の合計(カロリー燃費,タンパク質燃費)は,$$5 + \frac{155}{a}\qquad[円/km] (a: 1日で進める距離)$$
以降は,ロードバイク初心者を考え,$\;a = 155/2 = 77.5\;$と考えて,自転車の燃費は7円/kmとする。
メンテナンス料
自転車でメンテナンス(交換)が必要なパーツはブレーキシュー,チェーン,シフトワイヤー,タイヤとする。
ブレーキシューは10000kmごとの交換で前後交換1800円とすると,$\;\frac{1800}{10000} = 0.18\;$円/km
チェーンは,4000kmごとに交換とすると,チェーン4000円として,1円/km
シフトワイヤーは前後とも4000kmで交換することとすると,前後合わせて3000円でパーツ購入したとして,$\;\frac{3000}{4000} = 0.75\;$円/km
タイヤは,3000kmごとに前後とも交換したとして,前後合わせて7500円とすると,$\;\frac{7500}{3000} = 2.5\;$円/km
したがって,メンテナンス費用は,$$0.18 + 1 + 0.75 + 2.5 = 4.43[円/km]$$
結果
よって,上記燃費とメンテナンス費を足すと,総合的な1kmあたりの交通費は,$$7 + 4.43 = 11.43 \fallingdotseq 11.5[円/km]$$
もちろん,自転車は人によって,かかる費用が大幅に異なってくる。自分の場合は1日で200kmは走るし,食事もカロリー対値段が安い食パン(900kcalで100円)に公園の水で済ませて,さらには消費カロリー関係なしに食パン1袋で50kmは走ると考えると,$$\frac{100}{50} + \frac{155}{200} + 4.43 = 7.205 \fallingdotseq 7.2 円/\mathrm{km}$$となる。
バイク(250cc)の場合,ガソリン代だけでなく,維持費として軽自動車税,自賠責保険料,任意保険料,メンテナンス費がかかってくる。
ガソリン代は,全国の平均的なガソリン代が165円/Lとすると,燃費30km/Lとして,$$\frac{165}{30} = 5.5円/\mathrm{km}$$
軽自動車税は,3600円/年
自賠責保険料,任意保険料は,合計約60000円/年
メンテナンス料は3000kmごとにオイル交換1回3000円,オイルフィルターが10000kmごとに1000円,タイヤ交換が15000kmごとに45000円,ブレーキパッド交換が15000kmごとで7500円,チェーン&スプロケット交換が20000kmごとで30000円とすると,$$\frac{3000}{3000} + \frac{1000}{10000} + \frac{45000}{15000} + \frac{7500}{15000} + \frac{30000}{20000}
= 6.1[円/\mathrm{km}]$$また,点検費用が年に15000円かかるとする。
以上より,バイクは1kmあたり,ガソリン代とメンテナンス費を合わせて,$\;5.5 + 6.1 = 11.6[円/\mathrm{km}]\;$となり,それに加えて,税金・保険料・点検費用で年$\;3600 + 60000 + 15000 = 78600\;$円かかることとなる。
鉄道の場合,乗車券購入時の営業キロやお得なきっぷ,回数券,株主優待割引,学割,定期券の活用,鉄道会社によって運賃が大きくことなるため,一概には言えないが,JR本州3社の場合には,$$16.2円/\mathrm{km} \times 1.1(消費税) = 17.82円/\mathrm{km}$$として考えられる。
ただし,上記の交通費はあくまでもJR本州3社で,営業キロが1-10キロを除いた1-300キロ内に収まる移動を繰り返す場合の値段である。
年間移動距離別交通費は次のようになっている。
このグラフから,自転車は常に鉄道やバイクより安いことが分かる。また,バイクと鉄道は途中で安さが逆転するが,その交点は$\;11.6x + 78600 = 17.82x\;$の方程式を解いて,約12640kmと出るため,12640kmからは,バイクの方が安いこととなる。
年間で13000km以上は走る生粋のライダーであれば鉄道よりもバイクで遠くにおでかけする安さの恩恵を受けることができるようなので,バイクに乗る人は参考にするとよいだろう。
移動距離[km] |
自転車 |
バイク(250cc) |
鉄道 |
1000 |
11500 |
90200 |
17820 |
2000 |
23000 |
101800 |
35640 |
3000 |
34500 |
113400 |
53460 |
4000 |
46000 |
125000 |
71280 |
5000 |
57500 |
136600 |
89100 |
6000 |
69000 |
148200 |
106920 |
7000 |
80500 |
159800 |
124740 |
8000 |
92000 |
171400 |
142560 |
9000 |
103500 |
183000 |
160380 |
10000 |
115000 |
194600 |
178200 |
11000 |
126500 |
206200 |
196020 |
12000 |
138000 |
217800 |
213840 |
13000 |
149500 |
229400 |
231660 |
14000 |
161000 |
241000 |
249480 |
15000 |
172500 |
252600 |
267300 |
16000 |
184000 |
264200 |
285120 |
17000 |
195500 |
275800 |
302940 |
18000 |
207000 |
287400 |
320760 |
19000 |
218500 |
299000 |
338580 |
20000 |
230000 |
310600 |
356400 |
21000 |
241500 |
322200 |
374220 |
22000 |
253000 |
333800 |
392040 |
23000 |
264500 |
345400 |
409860 |
24000 |
276000 |
357000 |
427680 |
25000 |
287500 |
368600 |
445500 |
26000 |
299000 |
380200 |
463320 |
27000 |
310500 |
391800 |
481140 |
28000 |
322000 |
403400 |
498960 |
29000 |
333500 |
415000 |
516780 |
30000 |
345000 |
426600 |
534600 |